おはようございます。
ていらのです。
久しぶりにきちんと小説を読みました。
2016年、第23回電撃小説大賞受賞作品です。
こちらはメディアワークス文庫より刊行。
電撃文庫より刊行された大賞作品は「86」です。
個人的にはわりと万人におすすめできる物語だなという感想です。
ただ、映像化による話題性や、「圧倒的感動」「読む人みんなが涙」
のような謳い文句を見てハードルを上げると、
Amazonの低評価レビューのような感想になってしまうかもしれません。
ある程度こういった本を読んでいる人なら、
カバーイラストやあらすじで想像できると思いますが、
「ヒロインと死にまつわる系」のお話です。
同系統の作品に(勝手に私が分類しただけですが)
「君の膵臓をたべたい」も分類されるかと。
展開としては手堅いやつですね。
脱線しますが、他に手堅い展開としては、
「惹かれ合う男女を不思議要素が引き裂く」
もありますね。「君の名は。」とか
◆
私がこの作品を読んで率直に思ったのが、
「落合監督の頃の中日の野球みたいだ」です。
分かりづらい例えで大変申し訳ありません(笑)
「派手さはないが、手堅い」というんですかね。
主人公の一人称で語られる文章は読みやすく、
描写も設定も人間関係も丁寧だな、という印象でした。
1-0で守って勝つ野球のような。
ですので「圧倒的感動」みたな宣伝を見て、
ホームランが飛び交う空中戦を期待して読んだ人は、
「あんまり……」となる可能性が高いかもしれません。
◆
この作品、ヒロインの病気がファンタジー要素なのですが、
じゃあその部分が物語の核心部分に深く関わっているかというと、
そうでもありません。
逆に言うと、本作のような手堅さと丁寧さがあれば、
電撃でも大賞が狙えるということですね。
少なくとも電撃大賞なら拾い上げ以上は期待できるでしょう。
王道で手堅い設定、展開でも、
リアリティを丁寧に積み重ねることで、
映像化&シリーズ累計50万部作品になりえるということ。
「尖った設定の一点突破」か。
「手堅い丁寧な積み重ね」か。
前者は設定を尖らせて、
とことん鋭利にしなければならない大変さがありますし、
後者は王道であるがゆえの既存作との差別化などで
苦労があると思います。
ライトノベル新人賞を狙っている人は、
自分に向いてる方でアプローチしてみるといいかもしれませんね。
もちろんデビューへのアプローチは、
上記の2パターンだけではなく無数にあります。
デビューしてからも創作は続く(はず)ので、
再現性と継続性を重視した創作を体に叩き込んでおくと、
苦労が軽減されるかもしれません。